選抜大会に初出場し、30日、2回戦を迎えた大分のエース長尾凌我君(3年)と捕手の江川侑斗君(同)は小学生の頃からバッテリーを組む。継投で長尾君が登板した三回、強打の明石商(兵庫)打線を三者凡退に抑え、息のあったプレーを見せた。
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初めて会ったのは小学2年のとき。江川君が所属していたチームに長尾君が入ってきた。長尾君は、江川君が1学年上の選手と対等にプレーする姿を見て「すごい」と思い、江川君も長尾君のことを「俺よりうまい」と感じ、話しかけるようになった。
練習がない日は長尾君宅の庭で、丸めた新聞紙を粘着テープでとめた球を打って練習。屋根を越えたら本塁打などと決めて楽しみながらやった。
小5からは、バッテリーを組み、そろって大分の付属中学に進学。江川君が何も言わずに突然長尾君の家に押しかけても、長尾君は快く迎え入れ、2人で練習に励んできた。
長尾君の持ち味は制球の良さだ。江川君は「どうやって抑えるか配球を考える。制球のいい凌我だから面白い」。長尾君も意気に感じて「サイン通り投げて打たれても後悔しない」と言い切り、首を振らない。
江川君は「考えてもみなかった違う角度から野球を見ていて意見を言ってくれる」、長尾君は「野球のことを考える頭脳はチーム一。考えていることに追いつくので精いっぱいだった」と互いを尊敬し合う信頼関係が築かれていった。
1回戦の松山聖陵戦では、長尾君は江川君にリードされ4種類の変化球を織り交ぜて的を絞らせずに完投した。30日もサイン通り投げたが制球が定まらず、明石商の勢いを止められなかった。
長尾君は「甲子園でバッテリーを組めてうれしかった」。江川君は「甲子園で球を受けられて楽しかった」と口をそろえた。夏に戻ってくることを誓い、グラウンドの土は持ってかえらなかった。(小林圭)