第91回選抜高校野球大会初出場の大分OB野崎颯(はやて)さん(20)が、母校の試合があった27日、グラウンド整備を担当。トンボをかけながら後輩の試合を見守った。
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野崎さんは球場の整備などをする「阪神園芸」の職員。中学生の頃、高校野球のテレビ中継を見ていたときにグラウンドを手早く整備する姿を見て、就職したいと思った。
高校3年の夏には記録員としてベンチ入りした。チームは1回戦で負けたものの、入った瞬間、芝の青々とした香りが鼻をついた。刈りそろえられた緑色の芝生が広がる光景が強烈に印象に残った。
1球1球に注目する観客の視線や安打1本で歓声が沸き起こる雰囲気のとりこに。「甲子園に長くいたい」と、思いをさらに強くし、希望がかなって入社した。
高校野球は1日に3、4試合。時間が限られる中で手早く整備できると達成感がある。「ちょっとでも良いプレーをできるように選手を支えたい」という。
社内には、母校が何度も出場する先輩がいてうらやましかった。「早く甲子園に出てくれ」と母校の出場を願っていた。今年1月、大分の出場が決まると、試合の日が待ち遠しかった。
この日、後輩たちは松山聖陵(愛媛)と対戦。自分たちも果たせなかった甲子園初勝利を手にした。校歌が流れると思わず口ずさんでしまったという。「勝ってくれてうれしい。学校の新しい歴史をつくってくれた」と喜んだ。(小林圭)