(31日、選抜高校野球 明豊1―0龍谷大平安)
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ためらいなく、3本目の矢が放たれた。0―0の十一回、明豊の若杉が先頭に安打を許す。盗塁阻止の後、四球を与えた。ここで大畑が救援に走った。「川崎監督からは『しびれる場面でいくぞ』と言われていた。100%を出せる準備はできていた」。球威で押し、二飛に見逃し三振。その裏のサヨナラ勝ちへの流れをつくった。
左の若杉と右の大畑。これまで矢は2本だと思われていた。この日、先発を託されたのは、大会初登板の寺迫。昨夏のエースだが、右ひじを痛め昨秋は投げられなかった。「状態がよかった。悔しさを晴らして欲しかった」と川崎監督。挑みかかるように右腕を振り、寄せ付けない。六回から登板の若杉、大畑との3人で11個のゼロを並べた。
37歳の川崎監督は智弁和歌山出身。58歳の龍谷大平安・原田監督とは浅からぬ縁がある。智弁和歌山が初めて全国制覇した1997年夏、1年生の遊撃手として試合に出ていた。決勝の相手が当時37歳の原田監督が率いる平安だった。2012年に明豊の監督に就任した際には、平安の練習を訪れている。「野球を熟知し、尊敬する監督の一人。勉強したかった」
敗戦後、原田監督は「トータルでいいチームをつくっている。特に選抜でエース級を3人も育てているのはすごい」と言った。1回戦で横浜の好左腕及川(およかわ)を攻略するなど、強打のイメージが強い明豊。古豪との根比べは、その投手力の高さも知らしめた。春夏通算9回目の甲子園で初めて4強に進む。さらなる高みをめざせる力を感じる。(竹田竜世)
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○後藤(豊) 途中出場し、十一回2死満塁から自身甲子園初安打が中越えサヨナラ打。「最高です。その一言しかでません。自分で決めるしかないと思っていた」
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▼大分勢は43年ぶり4強 3回目出場の明豊は31日の準々決勝で龍谷大平安(京都)に勝って初の準決勝進出。大分勢としては、48回大会(1976年)の日田林工以来43年ぶり。