(24日、選抜高校野球 明豊13―5横浜)
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明豊の選手が言う。「当てにいく打撃をすると、このチームでは目立つ。後悔しますね」。いつでも鋭くフルスイング。屈指の好左腕、横浜の及川(およかわ)に対しても当然、それは変わらない。「中途半端な振りでは相手に流れがいくから」と、4番野辺も心していた。
4点先行されたが、元々が後半勝負。浮足立ちはしない。それどころか打線は早くも三回に着火した。2四球と及川がぐらついた場面で主将の表が適時打。バントのあと布施、野辺の連続短長打で畳みかける。
2人とも及川の得意のスライダーをとらえた。左打者の野辺はフルカウントから。「直球が頭にあったけど、体重が残って変化球に対応できた」。きれいにバットのヘッドが返り、左翼線への二塁打。左翼手の失策を誘って追いついた。
「明豊はミスショットがなかった」と、及川をうならせる。さらに2死三塁。青地が2ボールのあと、第1ストライクの直球を迷いなく振り抜く。勝ち越しの三塁強襲内野安打となって、及川を降板させた。
これまで及川を想定し、打撃マシンを近めに置いて直球、スライダーで目を慣らしてきた。ボール球、低めスライダーは捨てるなどの方針を徹底した。そんな対策が実を結ぶのも、「打たねば勝てない」というフルスイングの心が選手に宿っているからだろう。
名だたる強豪を打ち砕き、「堂々と戦えた」と野辺。強打の伝統に彩られる智弁和歌山OBの川崎監督も「まさか1イニングでひっくり返してくれるとは」と、感じ入っていた。(隈部康弘)