(27日、選抜高校野球 大分4―1松山聖陵)
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豪速球がなくても野球は勝てる。大分の捕手江川は八回、3連続安打を浴びてこの試合初失点すると、すぐにマウンドへ駆け寄った。下を向くエース長尾の肩をたたき、「そんなにうまくいくはずないだろ」と笑い飛ばした。
1点差に迫られ続く2死一、二塁のピンチ。迎えた相手打者に対して直球を2球続け、手を出してくれないとみるや、長尾にはこの日一番調子の良かったシュートを続けて要求。直球を挟んで一呼吸置くと、6球目に再びシュートを投げさせ、遊飛に打ち取った。
小学5年からバッテリーを組む相棒の直球は、めったに130キロを超えない。150キロを投げる星稜の奥川(おくがわ)らが注目を集めるなか、「長尾みたいな制球の良い投手をリードして勝つ方がおもしろい」と不敵に笑う。時にはわざとサインを出すタイミングを遅らせて間合いを取るなど、インサイドワークには様々な工夫を凝らす。
視野の広い司令塔に、長尾は「サイン通りで打たれた記憶はほとんどない」と信頼を置く。まずつかんだ甲子園初勝利。どこまでチームを導けるか。
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○中尾(大) 一回に先制の2点適時二塁打を放つ。「感触も良かった。スタンドからの声援がよく聞こえた」