(31日、プロ野球・DeNA3―2中日)
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じれた展開で、勝負を分けたのは送りバントの精度だった。
2―2で迎えたDeNAの九回の攻撃。先頭の大和が中前へ。続く代打の嶺井は1ボールから2球続けてバントをファウル。投球と同時に一気に前に出てきた三塁手の高橋が、視線に入ったのかも知れない。4球目は顔面付近に向かってくる直球だった。だが、体勢を崩されながら寝かせたバットで打球の勢いを殺す。成功。代打佐野のサヨナラ安打につながった。
中日の攻撃は、中盤で追いついた後の七回。先頭打者が四球で出た後、代打亀沢は2回、送りバントを失敗。強攻したが、中飛に倒れて走者を得点圏に進められなかった。
この日は、3月27日に敗血症性ショックのため亡くなった近藤昭仁さん(享年80)を悼み、試合前に黙禱(もくとう)が捧げられた。大洋時代は二塁手として活躍し、1993年から横浜の初代監督を3季務めた大先輩は、バントの名手でもあった。
入団1年目の60年、三原マジックのもと、日本一に輝いたいぶし銀は、プロで生き抜くために通算239犠打をマーク。球団の生え抜きで初めて、通算200犠打を決めている。たかがバント、されどバント。今季はシーズン中に元号が変わるが、走者を確実に進める小技の大切さは変わらない。半旗が掲げられた球場で、殊勲の佐野が大勢のファンの前で誓った。「偉大な先輩たちに並べるよう、日本一になれるよう頑張ります」(笠井正基)