(2日、選抜高校野球準決勝 習志野6―4明豊)
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習志野のしたたかな試合運びはどうだ。七回、先頭の兼子が右中間三塁打。次の小沢は狙い球を絞った。「自分の打席は真っすぐが多かったから」。カウント3―1で直球だと読み切り、同点の中前安打だ。
八回は、これも先頭の桜井が明豊のリリーフ大畑から勝ち越しの右越え本塁打を飛ばした。「それまでの球と比べて内よりの直球。振り切った」と踏ん切りがいい。さらに2死から3長短打を浴びせるなどして点差を広げたあたり、どこまでも抜け目がなかった。
この逆転劇のタネは三回、桜井の打席で仕込まれた。敵失絡みの2死一、三塁。重盗を仕掛け、成功させた。小林監督は「打力で劣るなら攻撃力を上げようと」。3点を追う状況で、しかも4番打者の場面。明豊には、してやられた、といった感が残っただろう。
打席の桜井は「こういうときにつけ込んで点を取れといわれている」。振りを小さくして変化球を右翼へ打ち返す。1点差にした。
習志野がじわじわと流れを引き寄せたのは、ここからだ。六回、失敗こそしたが本盗を試みるなど縮こまっていない。左腕山内の先発も大当たりで、変化球をうまく使って追加点を許さない。嫌な形で詰め寄られた明豊は、まだ勝っているのに「焦りが出てきた」(主将の表)。習志野はやりたいようにやって、明豊をのみこんでしまった。
「打者も走者も、全員がここが大事というところで強い気持ちになれる」と、主将の竹縄は誇らしげ。3試合連続で終盤に逆転と確かな地力を見せつけて、千葉勢初の選抜制覇に挑む。(隈部康弘)
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▼習志野が初の決勝進出 準決勝で習志野が明豊に6―4で勝利。これまでの最高成績は48回大会(1976年)と81回大会(2009年)の2回戦敗退。夏の全国選手権大会では67年と75年に優勝している。
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▼千葉勢の決勝進出は24年ぶり3回目 習志野が明豊に6―4で勝って、67回大会(1995年)で銚子商が決勝に進出して以来の決勝進出。決勝は0―4で観音寺中央(香川)に敗れた。その前は53回大会(81年)で印旛が決勝に進み、PL学園(大阪)に1―2で敗戦。習志野は夏に2度の全国制覇を経験したが、選抜での決勝進出は初めて。