「代打成功率100%」の男が、DeNAにいる。3年目の佐野恵太内野手(24)が、ここまで代打で4打数4安打の打率10割、8打点と大当たりしている。しかも、3月31日はサヨナラ適時打、4月に入ると4日に満塁本塁打で勝利をもたらした。ラミレス監督も「アメージング!(見事だ)」と言うほかないその活躍を支える、佐野の代打の心得とは。
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まずは頭をフル回転させるのだという。終盤の勝負どころで起用されることが多いから、前もって中盤の四回か五回から準備に入る。「まず相手のブルペンを見て、どういう投手が来るか、チームのスコアラーと話し合っている」
例えば、満塁本塁打を打った4日のヤクルト戦。四回には相手はすでに先発投手が降板し、継投に入っていた。この日の舞台だった神宮球場では、ブルペンで誰が投げているかベンチからも丸見え。肩をつくっている相手投手をスコアラーとともに確認し、自分が使われる終盤に投げそうな投手の特徴を頭に入れた。
七回、「回ってくるなら、2死満塁だな」と予感して体を温めていると、その通り、絶好機に代打で出番がやって来た。投手は想定していた梅野。「ストレートが速い。甘い球は1球あるかないか。いかに割り切って打てるか」と心の準備は万全だった。初球、狙い球が来た。腰の高さの147キロの速球を強振し、バックスクリーンにたたき込んだ。
「去年まで打てない時も代打で使い続けてくれた。そこで心構えを学ばせてもらった。自分の中で、いいリズムで打席に入れている」。これだけ活躍すると、先発起用もありそうなところ。ラミレス監督は「それはあり。でも、代打でいいタイミングで使うのも手。帰って考えたい」と、うれしい悩みを打ち明けた。(菅沼遼)
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〈さの・けいた〉 岡山県出身。広島・広陵高、明大を経て、ドラフト9位でDeNAに入った3年目。昨季までの2年間では計91試合に出場し、147打数31安打、15打点だった。
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【佐野の4打席】
①3月29日 中日戦
八回1死一、二塁、左翼へ2点適時二塁打
②3月31日 中日戦
九回1死一、三塁、左翼へサヨナラ適時打
③4月2日 ヤクルト戦
八回2死二塁、中堅へ適時打
④4月4日 ヤクルト戦
七回2死満塁、中越えの満塁本塁打