日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)をめぐる特別背任事件で、前会長が仏ルノー出身の中東担当役員に指示して中東各国の友人側への不正送金を始めていたことが、関係者への取材でわかった。自分の裁量で使える資金のうち、年度末に余った分を「ボーナス」として配分していたことも判明。東京地検特捜部もこの役員がキーマンの一人とみている模様だ。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長が、自分や中東の友人の利益を図るために日産資金を不正に支出したという特別背任事件は2ルートある。「サウジアラビアルート」は2009~12年に友人である実業家の会社に計約13億円を送金。4日の再逮捕容疑となった「オマーンルート」では、友人がオーナーを務める販売代理店「SBA」に15~18年に計約17億円を送り、うち約5億6千万円を自分が事実上保有するレバノンの投資会社「GFI」に還流させたとされる。
いずれも原資は前会長がCEO(最高経営責任者)の裁量で使える「CEOリザーブ(予備費)」。自然災害に伴う見舞金など、各部門の予算には計上されていない緊急的な支出が必要になった時に対応する予備費だが、中東には09年以降、「販売促進費」などの名目で送金されていた。
複数の関係者によると、ゴーン…