関門海峡を結ぶ「下関北九州道路」事業をめぐり、麻生太郎副総理の側近の大家(おおいえ)敏志・自民党参院議員(福岡選挙区)が昨年12月、「総理と副総理の地元なので2人がやるとぐちゃぐちゃ言われるから、参議院の吉田博美幹事長を引っ張り出した」と発言していたことがわかった。大家氏が、安倍晋三首相や麻生氏を意識して吉田氏とともに事業推進に向けて動いていた可能性をうかがわせる内容だ。
事業をめぐっては、塚田一郎・前国土交通副大臣が、吉田氏から「総理と副総理の地元事業なんだよ」と言われたとして「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度(そんたく)した」などと発言。その後、副大臣を辞任した。
大家氏は昨年12月9日、北九州市のホテルで講演し「関門橋と関門トンネルが老朽化し、本州と九州がいろんな面で苦労している」と道路の必要性を強調。「総理と副総理の地元なので、2人がやるとぐちゃぐちゃ言われる」とし、吉田氏を「参院のドン」と持ち上げたうえで「吉田参院幹事長に『下関北九州道路は政治生命をかけてやる』と言わしめた」と明かした。講演には、麻生氏のほか、塚田氏や大家氏とともに麻生派に所属する甘利明・選挙対策委員長も出席していた。
大家氏は講演後の同月20日に、吉田氏らとともに塚田氏と面会。事業化に向けた要請を行った。大家氏のフェイスブックには昨年10月、「山口県下関市のご出身である安倍総理からは『早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように』とお言葉を頂きました」という書き込みもあった。