企業が自社のデータやソフトをインターネット上に置くクラウド化の動きが加速するなか、世界的な大手の覇権争いが激しさを増している。先行するアマゾンやマイクロソフトを追うグーグルは、オープンソース(自由に参加できる公開の開発システム)のソフト会社と連携する方針を打ち出し、戦略の違いを明確にした。各社はクラウド化が急速に浸透し始めた日本市場へも熱視線を送る。
「グーグルだけでつくるのではない、パートナーと共栄できるような協業の環境基盤を作る必要がある、というのが我々の信念だ」
グーグル・クラウドの最高経営責任者(CEO)に今年就いたトーマス・キュリアン氏は10日、朝日新聞など一部メディアの取材で、こう強調した。
グーグルは9日にスタートした発表会「ネクスト 2019」で、クラウドサービスに関連し、オープンソースのソフト会社との連携を強めると発表。同じ業界内で、オープンソースのソフト会社側との緊張関係が度々取りざたされるアマゾンとの違いを鮮明にした。
クラウド事業首位のアマゾンのサービスに対しては、「オープンソースのソフトの果実を自社に取り込み、自分だけ儲(もう)けている」(米オープンソース開発企業の経営者)という批判がある。これに対し、グーグルは、「共存共栄」を目指す考えを打ち出したのだ。
各企業ではかつて、自社内にデ…