大阪市の藤田美術館が所蔵する木造の「空也上人(くうやしょうにん)立像」(高さ96・7センチ、14~15世紀)について、明治時代に奈良市の古刹(こさつ)、隔夜寺(かくやじ)(中田定慧(じょうけい)住職)に安置されていた可能性が高いことが、奈良国立博物館(奈良市)の調査で新たに分かった。英国王室が所蔵する明治期に撮影された古写真をきっかけに、出自をたどる過程で判明した。
空也上人立像は、奈良国立博物館で13日に始まった特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展―曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)と仏教美術のきらめき―」(朝日新聞社など主催)で公開されている。
空也(903~972)は平安時代中期の僧。「南無阿弥陀仏」と唱える念仏を広め、浄土教の普及に貢献した。空也像としては鎌倉時代の仏師、運慶(うんけい)の子である康勝(こうしょう)の作とされ、口から6体の小さな仏が出てくる姿の京都・六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)の立像(国重要文化財、13世紀)が知られる。
奈良国立博物館によれば、3月…