シャープを傘下に持つ台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(かくたいめい)会長(68)は15日、「日常業務では第二線に退き、私個人のカラーを薄めたい」と語り、経営の第一線を近く離れる意向を表明した。一部の台湾メディアは、郭氏が来年1月の台湾総統選に出馬する意欲があるという見方を報じている。
郭氏は同日、台北市内で開かれた会合で、台湾メディアなどに対し、「若い世代に学ばせ、早く後を継がせたい」と語った。一方で「会社の未来の大きな方向性については、私が指揮をとる」とも述べた。
鴻海は、米アップルのiPhone(アイフォーン)の製造を請け負うなど受託生産の世界最大手。郭氏が1974年に創業したプラスチック会社から、一代で発展させた。経営不振に陥ったシャープを16年に買収し、再建を進めていることでも知られる。
郭氏は台湾の野党・国民党の支持者で、党内には以前から、総統選候補としての待望論がある。郭氏は「望んでいない」と語っているが、今年に入って自らの活動を紹介するフェイスブックを立ち上げ、政治的な発言を投稿しており、意欲の表れとも受け止められている。(台北=西本秀)