韓国による東京電力福島第一原発事故の被災地などからの水産物の全面禁輸を事実上容認した世界貿易機関(WTO)の判断を受け、政府は24日、ホヤの養殖業者の支援を検討する考えを示した。東電に賠償の継続を促したり、ほかの魚に転換する際に補助したりすることを検討する。
宮城県はホヤの日本最大の産地で、原発事故前は7~8割が韓国に輸出されていた。東電による養殖業者への賠償は2020年度で終わる予定だが、WTOの判断を受けて韓国は禁輸を継続する構えで、養殖業者から対策を求める声が出ていた。
これに対し、経済産業省の松永明・福島復興推進グループ長は24日の衆院外務委員会で、「厳しい状況におかれた漁業者に寄り添い、賠償に対して誠実かつ適切な対応が行われるよう指導する」と述べた。「東電は真摯(しんし)に対応を検討している」とも話した。
韓国の禁輸が続けば、別の魚介を養殖することを希望する業者が出てくる可能性がある。水産庁には被災地の養殖業者が生産を再開する際、赤字の9割を国が負担する事業があり、山口英彰次長は同委で「この事業を活用した支援を検討したい」と述べた。(大日向寛文)