北海道夕張市高松の石炭博物館から、18日午後11時45分ごろ「白煙が見える」と消防に通報があった。市消防本部によると、1階から地下に続く見学施設の「模擬坑道」付近から出火したとみられる。坑道内に煙が充満しており、消火活動が長引く恐れがあるという。同博物館は冬季休館中で、けが人はいなかった。
模擬坑道(約180メートル)は、かつて実際に使われていた坑道を改修したもので、石炭採掘に使う巨大な機材などを展示している。消防によると、坑道内の木枠に何らかの原因で着火し、石炭層に燃え移った可能性があるという。27日の今季のオープンに向けて、坑道内では18日夕まで溶接作業が行われていた。
石炭博物館は、夕張市が「炭鉱から観光」のスローガンのもと、1980年に開業した。財政破綻(はたん)で多くの施設が閉鎖するなかで、同博物館は石炭産業の歴史を伝える施設として資料価値が高いことから、同市が5億円をかけて大規模改修し、昨春、リニューアルオープンしていた。昨年度の入場者数は目標の1万4千人の2倍を超える約3万2千人で、破綻から再生に向けて、市ににぎわいを取り戻す施設として期待されていた。