(20日 広島9―2DeNA)
コイの季節を目前に、不振にあえいでいた広島打線が浮上し始めた。
四回、1点を加えてなお2死満塁で打席には田中広。その初球。カーブを中前へ運び、2人を生還させた。23打席ぶりに出た田中広の安打。これで、打線が昨季までの記憶を呼び戻したかのようにつながった。菊池涼、バティスタに連続適時打が出てこの回一挙6得点。
勝負の流れを引き寄せる働きに加えて、先制点をたたき出したのも田中広だった。三回1死、三塁に俊足の野間を置き、左犠飛。飛球は浅かったが1点をもぎとった。「野間が一生懸命走ってくれた。(打撃が)いい方向に向かうように頑張っていきたい」
3打点を挙げたにもかかわらず、表情を崩さないのには理由がある。主に1番打者としてチームを3連覇へと引っ張ってきたのに、今季はぴりっとしない。この先制点が本人にとって今季初打点。試合前打率は1割6分2厘。リードオフマンのブレーキにひきずられるかのように、昨季までの強力打線も沈黙。チーム打率はリーグ最下位をいく。
それでも、チーム最年長石原の決勝適時打、選手会長の会沢のサヨナラ適時打に続き、田中広に復調の気配が出て3連勝。開幕から7カード目にしてようやくカード勝ち越しを決めた。まだ阪神と並んで最下位ではあるが、5月の反攻へとムードは整いつつある。(藤田絢子)