経済季評 松井彰彦 政府・公的部門の役割は、民間が担うことのできない計画を立て、それを実行に移していくことである。言わば百年の計を立てることだ。その機能が近年失われている。花粉症対策もその一つである。 まつい・あきひこ 1962年生まれ。東京大学教授。研究テーマは障害と経済、ゲーム理論。著書に「慣習と規範の経済学」など。 熊野古道中辺路(なかへち)を歩いたことがある。ちょうど熊野が世界遺産に登録された2004年のこと。紀伊半島の西海岸沿いにある紀伊田辺駅に降り立ち、歩くこと2泊3日。熊野本宮大社の近くにある湯の峰温泉にたどり着いた。その手前で小さな発見をした。山を越えていくと、尾根筋の片側が照葉樹林、反対側が針葉樹林という場所があったのだ。 宿の主人に聞くと、木材生産の… |
もはや花粉症は公害なのに… 半端ない省庁の縦割り感
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