外務省は23日の閣議で、2019年版の外交青書を配布した。北朝鮮に関する記載を大きく変え、18年版にあった「圧力を最大限まで高めていく」「重大かつ差し迫った脅威」などの表現を削除。拉致問題の打開に向けて、北朝鮮の前向きな対応を引き出す狙いだ。
北朝鮮の項目では、昨年6月と今年2月の米朝首脳会談など、完全な非核化に向けた取り組みを列挙し、「国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていく」との表現にとどめた。拉致問題は18年版と同様、「主権や国民の生命と安全に関わる重大な問題」と指摘。「拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない」とした。
一方、韓国については、慰安婦問題や日本企業に賠償を命じた元徴用工をめぐる韓国大法院(最高裁)判決を詳しく記載。「非常に厳しい状況に直面した」とし、18年版にあった「日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく」などの前向きな表現を削除した。
外交青書は毎年発行され、国際情勢や日本外交について政府としての現状認識や方針が示されている。