北朝鮮で約1年半拘束され、昏睡(こんすい)状態で解放されたのちに死亡した米大学生オットー・ワームビア氏(当時22)をめぐり、北朝鮮がワームビア氏の医療費として米政府に対し、200万ドル(2億2千万円)を請求していたことが明らかになった。25日の米ワシントン・ポスト紙(電子版)が関係者の話として伝えた。
米CNNによれば、北朝鮮の請求書はワームビア氏の解放交渉にあたったジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表(当時)に手渡されてユン氏はサインしたものの、米政府は支払っていないという。しかし、ポスト紙は北朝鮮による医療費の請求を「並外れた厚かましさ」と批判した。
バージニア大の学生だったワームビア氏は観光旅行中の16年1月、平壌のホテルにあった政治的スローガンが書かれた物を盗んだとして拘束。17年6月に解放されて帰国したが、昏睡状態で、数日後に死亡。両親が北朝鮮を訴えた損害賠償請求訴訟では昨年12月、北朝鮮が拷問をしたことでワームビア氏は死に至ったとして、北朝鮮側に約5億ドル(約558億円)を両親に支払うよう命じる判決が下されている。北朝鮮側は支払いに応じていない。(ワシントン=園田耕司)