インドネシアで今月17日にあった大統領選で、各地の投票所で開票作業などに当たった市民が、過労が原因で相次ぎ死亡している問題で、亡くなった人は25日までに計225人に上った。多くの犠牲者を生んだ開票作業とはどれほど過酷なものだったのか。ある投票所の責任者を務めた男性の家族を訪ねた。
膨大な開票作業、119人が死亡 インドネシア大統領選
首都ジャカルタから車で約2時間。ジャワ島西部のワルキドゥル村で23日、この日の早朝に息を引き取ったダヌ・ルダノさん(53)が埋葬された。家族や住民らが冥福を祈り、土の上に花びらをまいた。
家族や一緒に投開票作業に携わった人によると、ダヌさんは長く地区の自治会長で、過去の選挙での投開票作業の経験も買われて今回は投票所のまとめ役を頼まれた。投票日の数日前から、自宅前に投票所のテントを張って準備を始めた。
投票は午前7時から。地区の有権者は206人だが、この日は大統領選だけでなく、国会や地方議会など五つの選挙が同時に実施されたため、有権者1人が投票権の確認などの手続きを経て投票を終えるのに時間がかかった。ダヌさんら選挙係員7人が、これらの手続きを担当した。
午後1時に投票を締め切ると、すぐに開票へ。大統領選から順に投票用紙を1枚1枚、手作業で読み上げながら確認し、分厚い集計用紙に記入していく。各候補者の陣営と政党から来た数十人の立会人が目を光らせるなか、疑問票が有効か無効かの判断はダヌさんが担った。
朝は張り切っていたダヌさんだ…