26日に第1回会合が開かれた、日本高校野球連盟の「投手の障害予防に関する有識者会議」。投球数や連投について制限を設けるべきなのか、何をもとに具体的な指針を決めるのかをめぐり、意見が交わされた。
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投球数制限について、明確に反対したのは2007年の第89回全国選手権で優勝した佐賀北の百崎敏克・元監督だ。「今年、うちの部で19人が卒業したが、大学で野球を続けるのは1人だけ。例年でも多くて4~5人。『選手の将来』というが、ほとんどの選手には3年夏の大会が最大の目標。大人が制限を設けるべきではない」
高知県高野連の山崎正明理事長は「高知ではこの春季大会で加盟校の約半数が部員20人以下。現状で投球数制限が設けられるのは厳しい。連投を避ける方が重要ではないか」と指摘した。
独自に投球数制限の導入を試みた新潟県高野連の富樫信浩会長は「将来とはプロ野球を頂点としたものではない。肩ひじを壊し、ただつらかったことだけが思い出となるのではなく、ずっと野球を好きでいて欲しいという意味だ」と述べた。
投球数の制限や目安を設ける場合の根拠についても議論に。かつて小中高校生の全力投球の上限数に関する提言づくりに携わった日本高野連医科学委員会委員の正富隆医師は、「科学的根拠を求められるが、特に中学生はデータがなく難しかった」と話した。プロ野球ロッテや大リーグで投手としてプレーした早大の小宮山悟監督は、大リーグで先発投手の球数の目安が100球程度になっていることについて、「1イニング15球が最もストレスがかからず理想とされている。だから15球が7回で105球」と紹介した。
座長を務める慶大の中島隆信教授は、全国大会や地方大会での実際の投球数などを見ながら今後、議論を進めていく方針を示した。次回は智弁和歌山の高嶋仁・前監督をゲストスピーカーとして招く。(竹田竜世)