東京電力福島第一原発1号機で、原子炉建屋の出入り口の鍵を紛失したり、合鍵で簡単に出入りできる状態になっていたりしたことがわかった。原子力規制委員会は26日、核保安への意識が欠けているとして、東電に文書で注意した。
規制委によると、昨年11月末、廃炉作業にあたっていた東電社員が1号機建屋の核物質の防護区域に通じる扉の鍵を持ち出した。レジ袋に入れて持ち歩いていたが、退出時に防護服を着替えた際、別の社員が誤ってレジ袋ごとごみ箱に捨てた。1週間後、紛失に気づいたが、すでに構内で焼却処分されていたという。
また、同じ建屋の別の扉は、昨年末に構内の事務所などに南京錠の合鍵が約9千本もあったことが判明。2012年5月からこの状態が続いていた。規制委は、作業記録や防犯カメラを確認したが、不審な出入りはなかったとしている。
1号機は、11年3月の事故で炉心の燃料が溶け落ち、水素爆発した。建屋内の線量は極めて高く、がれき撤去などの作業が続いている。(小川裕介)