スリランカの連続爆破テロ事件を受け、同国のシリセナ大統領は29日から、顔を覆う衣服の公の場での着用を禁止した。イスラム教徒の女性が着用する「ニカブ」や「ブルカ」を念頭においている。当局はイスラム過激派の新たな攻撃を警戒しており、顔を隠す衣装で身元確認が困難になることを理由に挙げている。
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非常事態宣言下での大統領決定に基づく措置。テロの容疑者がブルカなどで顔を隠し、捜査を逃れることを警戒している。イスラム教指導者も理解を示し、イスラム教徒の女性に協力を求めている。テロ事件後、ニカブ着用者の入店を拒む店が相次いでいた。
ただ、一律の禁止でイスラム教徒への反発が増幅することを懸念する声もある。コロンボに住む女性(36)はこれまで、髪を覆うヒジャブを着用してきた。テロ事件後には通勤途中に見知らぬ人から「自分の国に帰れ」と突然言われ、身の危険を感じて仕事を休んでいる。「スリランカは色々な宗教が調和してきた国なのに、イスラム教徒がいつも疑われているようで不安だ」と話す。(ニューデリー=奈良部健)