韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は2日、大統領府で開いた有識者会合で「日本と大いに良い外交関係を発展させなければならない。安全保障や経済の未来の発展のためにも、日本と良い関係を結ばねばならない」と述べた。悪化している両国関係の改善を図る意思を明らかにしたとみられる。
文氏は会合で参加者に「日本人と会って論議する機会があれば、両国が一緒に知恵を集める方法が必要だと伝えてほしい」と求めた。文氏は上皇さまの退位と天皇陛下の即位にあたり両国関係の発展に言及する書簡や祝電を送付。日本が議長国として6月に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議を念頭に、関係改善を模索しているとの見方が出ていた。
一方、康京和(カンギョンファ)外相は2日、韓国記者団に対し、元徴用工ら訴訟の原告側が、賠償に関する協議に応じなかったとして日本企業の韓国内資産の売却を申請したことについて「わが国民による権利行使の手続きという観点から、政府が介入することではない」と述べた。韓国政府内で検討中の対応策についても「今は発表できる時期ではない」と述べ、さらに問題が長期化することを示唆した。(ソウル=武田肇)