大阪の真ん中で井戸を掘って、いのちを支える水について考えてみませんか――。日雇い労働者の街、釜ケ崎(大阪市西成区)を拠点に活動する「釜ケ崎芸術大学」(釜芸)が、そんなユニークなプロジェクトを進めている。
「日本でも井戸掘りの技術を誰かに伝えたいんだ」。3年前、釜芸を運営するNPO法人「こえとことばとこころの部屋」(ココルーム)代表の上田假奈代(かなよ)さん(49)が友人から聞いた言葉が始まりだった。
友人は京都市で絵本の店を営む蓮岡(はすおか)修さん(46)。医師の中村哲氏が代表を務める国際NGO「ペシャワール会」の一員としてアフガニスタンで4年間、800本以上の井戸掘りにかかわって帰国。2011年の東日本大震災の被災地で断水が相次ぎ、井戸が非常時の備えとして再認識された。そんな話を上田さんとしていて出た言葉だった。
「それなら釜ケ崎で」と応じた…