名古屋大学のシンボルで、国の登録有形文化財でもある豊田講堂。来年で完成から60年になるこの建物について、少なくない学生らが「とよた」と発音しているが、正しい読みは「とよだ」だ。いったいどうして?
4月5日、豊田講堂で3回に分けて学部と大学院の入学式が開かれ、周辺は多くの学生らでにぎやかだった。1960年に完成した講堂は、入学式や卒業式の会場などとして使われ、名大生に親しまれている。設計した世界的建築家の槇(まき)文彦さんは、正面から見た講堂のデザインは「門」の字の略字になぞらえたとしており、正門のない名大にとってはその代わりともいえる存在感がある建物だ。
名大には39年の旧・名古屋帝国大学創立当初から講堂建設の動きがあり、寄付金も集まっていたが、戦中の物資不足や終戦直後の物価高騰などで実現しなかった。その後、第3代の勝沼精蔵総長のとき、講堂の寄付者として白羽の矢が立ったのがトヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)だった。
大学はもともと総額1億円規模…