高校野球の春季関東大会は22日、さいたま市の県営大宮球場で準決勝があり、初出場の山村学園(埼玉)は東海大相模(神奈川)と延長十回まで戦い、1―4で惜敗した。東海大菅生(東京)は専大松戸(千葉)を4―0で下した。
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自信をつかんだ春だ。山村学園は、今春の神奈川を制した強豪相手に一歩もひかなかった。エース和田朋也(3年)は思い切りよく左腕を振り、真っ向勝負を挑んだ。九回まで内野ゴロの間の1失点のみ。十回、3連打を浴びるなどして力尽きた。
試合後、岡野泰崇監督(42)の第一声は「上出来じゃないでしょうか」。「誰もうちが勝つと思わない。うちが勝ったらえらいこと。どれくらいできるかやってみようと話していたので」と笑った。
「埼玉の勢力図を変える」。これが山村学園の合言葉だ。女子校から共学化した2008年、野球部は同好会としてスタート。新入部員が1人という年もあった。転機は11年夏の埼玉大会。3年生の選手が1人だけのチームで戦い、1―2でサヨナラ負けした。開幕試合だったこともあり注目された。「テレビでも放送され、翌年から新入部員が増えたんです」と井上雅彦部長(55)。
岡野監督は茨城県出身で立大OB。社会人野球をへて教員になった熱血漢のもと、力をつけてきた。16年春に初めて県4強に入って以降、17年夏と秋、18年春も県4強に。今春の県大会でも4強に入り、地元に4枠が割り当てられた関東大会に初出場した。マネジャーを含め現部員は100人を超える。寮はなく、ほとんどが地元出身だ。
今大会、のびのびと楽しそうにプレーした。1回戦で水戸商にサヨナラ勝ちすると、2回戦は選抜準優勝の習志野(千葉)に13―2で七回コールド勝ち。準々決勝でも選抜に出場した国士舘(東京)を破った。主将の坂上翔悟(3年)は「100%の力を出せば関東大会に出てくるチームと互角以上に戦えることが分かった。すごい自信になった」。
岡野監督は言う。「初めて関東で戦い、改めて埼玉のレベルの高さを感じた。(花咲)徳栄(とくはる)さん、浦学(浦和学院)さんに(春日部)共栄さん、聖望(学園)さん。埼玉での優勝を目標にしていたら、埼玉では勝てない。目標を甲子園ベスト8くらいに持っていかないと」
壁は分厚い。ただ、掲げる合言葉の実現に、少しずつ近づいているのは確かだ。(竹田竜世)