中国遼寧省にある清朝の初代皇帝ヌルハチの故郷・新賓満族自治県で22日、満州族が祖先らに祈りを捧げる祭礼があった。毎年陰暦の4月18日に開かれ、中国各地から集う満州族が伝統の食事や踊りなどを楽しんだ。
満州族の人口は約1千万人(2010年の国勢調査)で、中国の55の少数民族のなかで3番目に多い。この日の祭礼は、ヌルハチが最初の根拠地として約400年前に城や寺を築き「清朝発祥の地」と言われる同県のヘトゥアラという場所で開かれた。同県は近年、チャイナドレス「旗袍(チーパオ)の発祥の地」としても観光地化に力を入れる。
3世紀にわたり中国を支配した清朝が滅亡した後、満州族は時の政権から警戒され、自治区や自治州の設置が認められなかった。満州族は漢族との同化が進み、「愛新覚羅」など固有の姓を名乗る人も少なくなる中、満州語や伝統文化の継承が課題となっている。約1800キロ離れた陝西省から毎年、参拝に訪れるという満州族の女性(31)は「ここには祖先様がいる。私たちは満州族文化をずっと忘れていない」と話した。(新賓=平井良和)
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