鹿児島県屋久島町で一時、314人の登山者らが山中に取り残された豪雨被害で、深い岩盤まで崩れる「深層崩壊」や、西日本豪雨でも被害を拡大させた巨大な「コアストーン」の崩落などが発生していたことが、国土交通省や鹿児島大学の調査でわかった。
鹿児島大学の地頭薗(じとうその)隆教授(砂防学)らが20日、九州地方整備局の防災ヘリに乗り込み、被害の様子を調べた。
地頭薗教授によると、登山者らが取り残された荒川登山口やヤクスギランド周辺の山間部では、少なくとも十数カ所の土砂崩れや土石流が発生していた。
登山者が自衛隊員らの助けを得て下山した県道周辺では、崩落した直径数メートルの巨石が残されていた。花崗岩(かこうがん)が風化して硬い部分だけが残ったコアストーンと呼ばれる巨石で、西日本豪雨の土砂崩れでも発生し、住宅などを破壊したことで知られる。
また島の東部にある尾立岳の南側斜面では、長さ約100メートル、幅約100メートルの範囲で、10メートルほどの深さで岩盤ごと大規模に崩れる深層崩壊が発生していた。
地頭薗教授は「多量の雨に鍛えられている屋久島の地形でも、大規模な斜面崩壊が起こるほどの豪雨だったことがわかった。被災した道路は観光の基幹ルートでもあり、早急な復旧と安全対策を進めてほしい」と話した。
18日は屋久島町小瀬田で平年の5月の月間雨量に相当する439・5ミリを観測。気象庁は「50年に一度の記録的大雨」と表現していた。(竹野内崇宏)