一気飲みを促す雰囲気が、学生の死を招くケースは後を絶たない。悲劇はなぜ繰り返されるのか。
近大生一気飲み急死、上級生ら12人を書類送検 大阪
「盛り上がっている場の雰囲気に合わせなくちゃいけない。普段とは違う怖さを感じる」。日大2年の女性(20)が所属するサークルの飲み会では、ゲームに負けた参加者が頻繁に酒を一気飲みするのが慣例だと話す。上級生が特に多量の酒を瞬時に飲む。「上級生に面と向かって『自分のペースで飲みたい』とは言えない。懇親の場なのに会話ができない」
このサークルの飲み会では今回の事件と同様に、誰かが酔い潰れることを見越して、飲酒を控える「介抱役」の学生をあらかじめ決めているという。
急性アルコール中毒で入院した学生に共済金を払っている全国大学生協共済生活協同組合連合会によると、2017年度の支払い件数は133件に上る。
飲酒による「アルコールハラスメント」の防止に取り組むNPO法人「アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)」(東京)代表の今成知美さんは「場の空気」に着目する。
「酒を拒んで場を白けさせてはダメ、という無言の同調圧力が生まれる。無理やり飲ませる、という強要の有無は関係ない」と話す。なかでも、飲酒を促す圧力は、日本社会に独特な「上下関係」の中で加速するとみる。今成さんは「上級生ら飲ませる人と、下級生ら飲まされる人の力関係は自然に決まる。危険性を頭で理解していても事故は起こる。危ないと感じたら逃げて」と呼びかける。
ASKは、吐きそうな人は横向…