南シナ海を飛行中のオーストラリア軍のヘリコプターが今月、中国船籍とみられる漁船からレーザー照射を受けていたことが29日、わかった。豪公共放送ABCが豪国防筋の話として伝えた。南シナ海を自国の領域と主張する中国の示威行為だった可能性がある。
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ABCによると、夜間に南シナ海上の豪海軍の艦船から飛び立った複数のヘリコプターがレーザー照射を受けた。レーザーは付近の漁船から出ていたとみられる。豪艦隊は安全保障交流で今月、ベトナムやインドネシアなどを訪れていた。
豪国防省報道官は朝日新聞の取材にレーザーを発した船の船籍については明言せず、「ヘリのパイロットらにけがはなかった」とした。また、「豪艦隊がこの海域を航行する際に、携帯用のレーザー装置を使う船が増えている。理由は不明だが、航路での自船の存在について注意を引こうとしているのかもしれない。不適切な使用は航行に危険を招きかねない」とした。
南シナ海問題について豪州は、中国の軍事拠点化の動きに懸念を表明している。昨年5月には、同海で豪軍艦船が中国軍艦船に「挑発行為」を受けた、と報じられた。対中関係を巡っては豪州は昨年8月、次世代通信規格「5G」の通信網整備を巡って中国の華為技術(ファーウェイ)の参入を認めないと決定。中国側が反発していた。(シドニー=小暮哲夫)