熊本県八代市の介護老人保健施設「アメニティゆうりん」で昨年2~5月の常勤医不在時に死亡した11人のうち、1人が亡くなる直前にゼリーをのどに詰まらせていたことがわかった。施設を運営する法人理事長の医師は「老衰死」と診断していた。理事長は朝日新聞の取材に対し、「老衰の比重が高いと考えた」と話している。
複数の施設関係者によると、昨年4月18日朝、職員1人が、入所者の80代女性に部屋でゼリーを食べさせていたという。この職員に呼ばれた看護師らが駆けつけると、ベッドに寝かされた女性の顔が真っ青になっていたという。食事の介助をしていた職員は「突然、呼吸が止まった」と説明したが、誤嚥(ごえん)を疑った看護師の一人が気管内の吸引をすると、大きさ1~2センチのゼリーが出てきたという。
この時期は県条例が配置を義務づける常勤医が不在で、施設を運営する医療法人社団「優林会」理事長、林邦雄医師(76)がほかの病院などとかけ持ちで診察していた。連絡を受けた林医師が駆けつけ、介助をしていた職員から経緯の説明を受けた。誤嚥は午前中に起きたが、林医師は午後2時前に女性の死亡を確認。死亡診断書に死因を「老衰」と記入したという。
亡くなった女性の遺族によると、この日の昼過ぎ、施設から電話があった。30~40分後に施設に着くと、林医師から「朝は異状なかったが、昼に職員が巡回すると反応がなく、すでに亡くなっていた」と説明された。ゼリーの話は出なかったという。
遺族は「連絡後にすぐ駆けつけ…