朝日新聞社の一部の従業員が加入する新たな労働組合に、掲示板使用などの便宜供与を認めるかが問われた審査で、東京都労働委員会は10日、団体交渉に誠実に対応するよう同社に命じた。具体的な理由を説明せずに便宜供与を拒否したことが不当労働行為にあたると判断した。
都労委によると、朝日新聞社の従業員数人は、新たに労働組合「東京管理職ユニオン」の支部を昨年1月につくり、会社に対して、既存の労組と同様に会議室や掲示板を利用させることなどを求めた。会社側は、組合との間に信頼関係がいまだ存在しないなどとして応じず、組合が都労委に救済を申し立てていた。
都労委は朝日新聞社の対応について、組合の理解を得ようとする努力などを欠いており、不誠実な団体交渉にあたると判断。また、合理的な理由を示さずに要求を拒んだことは支配介入にあたるとも指摘したが、便宜供与については今後、労使の団体交渉で解決するべきだとした。
朝日新聞社広報部は「命令書の内容を精査し、今後の対応を検討します」とのコメントを出した。