パキスタンの汚職捜査機関は、同国の野党第2党「人民党」幹部のアシフ・アリ・ザルダリ元大統領(63)を資金洗浄の疑いで10日、逮捕した。ザルダリ氏が野党第1党「イスラム教徒連盟シャリフ派」との連携を強めていた矢先の逮捕で、背景には野党の結束を阻みたい政権与党の思惑があるとみられる。
地元メディアによると、ザルダリ氏は多数の架空口座を使いながら巨額の資金を移動させ、資産を隠していた疑いが持たれている。国会議員は資産公開を義務づけられているが、資産を小さく見せて脱税するため、国内外に隠し口座を持つ議員は少なくない。
なかでもザルダリ氏は、大統領だった2000年代後半から公共工事のキックバック率にちなんで「ミスター10%」と呼ばれるなど、金に絡む醜聞が絶えなかった。
汚職捜査機関の捜査には通常、政権与党「正義運動」や、それと蜜月関係の軍部の意向が強く働く。政権与党は目下、増税策で国民の不評を買い、野党勢力が大規模デモを計画中だった。野党勢力を陰で束ねる重鎮ザルダリ氏の逮捕の裏には、野党勢力の動きを抑えつけたい政権与党の思惑がみてとれる。(イスラマバード=乗京真知)
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