大阪市の目抜き通り「御堂筋」のイチョウ並木が、昨秋の台風21号の被害を乗り越え、新緑の姿を取り戻した。28、29日に大阪市で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に間に合わせようと、市や地元企業が復旧にあたっていた。
11日午後10時すぎ、大阪市中央区の今橋3丁目交差点で作業が始まった。深さ約1メートルの穴に、茨城県産のイチョウの木(高さ約7メートル、重さ約1トン)をクレーンでゆっくりと下ろす。垂直を保てるよう木の根元を金具で固定し、約1時間半かけて1本を植えた。12日早朝にかけ、4本を植え、復旧作業が完了した。
イチョウ並木は、1937年に御堂筋が開通したときから市民に親しまれてきたが、昨年9月の台風21号で景色は一変。972本のうち81本が、倒れたり枝や幹が折れたりする被害を受けた。当時、市内で観測史上3位となる最大瞬間風速47・4メートルを記録した。
市などは、G20サミットで見込まれる約3万人の来訪者に復活した街並みを見てもらおうと、昨年12月から植え替えや折れた枝の剪定(せんてい)を始めた。近くに本社を置く飲料大手のサントリーホールディングスも協力し、約5千万円を負担して28本を植えた。
当初、東京五輪の会場整備や全国的な自然災害の多発などで、イチョウの木の品薄が懸念されていたが、市が理想とする幹回り30~50センチ、高さ5~7メートルの木を調達できたという。
松井一郎・大阪市長は11日、「御堂筋は大阪市にとっての顔。復旧が間に合ったということで、非常によかった」と話した。(半田尚子)