大阪府枚方市は14日、夫の家庭内暴力(DV)から逃れるため市外に転居した女性の住所を、誤って夫に漏らしたと発表した。女性は再び転居を余儀なくされ、市は女性に謝罪。現時点では夫からの接触などは確認されていない。
市によると、夫は5月上旬、市役所の窓口で家族全員分の所得証明書の交付を申請。DV被害者に限らず、別居している家族の所得証明書は交付できないことになっているが、職員が確認を怠り、別居する女性の現住所が記された証明書を交付したという。
夫は約1時間後に住民票の交付も申請。この際も同じ職員が対応したが、住民票を管理する住民基本台帳システムに、女性がDV被害者であると示す警告文が表示されたことで発覚した。市は女性や転居先の自治体、警察に連絡。女性は再び転居した。所得証明書も男性から回収したという。
女性は現住所が入った文書などを夫に交付しないよう求める「DV等支援措置」を申請しており、枚方市にも転居先自治体を通じて通知があった。しかし交付しないよう求める文書の欄には住民票にしかチェックがなく、所得証明書を扱うシステム上は警告文が表示されなかった。市の担当者は今回の問題を受け、「チェックが入っていない文書も今後交付しない運用にする」としている。(森下裕介)