「人生100年時代」と言われるように、超高齢化社会に突入した日本。病気を予防して「健康寿命」を延ばせば、長生きしても医療費は減らせそうだと考える人は多い。政府もそういう期待を振りまいてきた。でも、それは間違いだという。いったいどうして? 医療経済学を専門とする東京大学大学院の康永秀生教授に聞いた。
――病気を予防しても、医療費は減らせないのですか?
「大前提として、予防医療は絶対に推進すべきです。健康というかけがえのない価値を得られるのですから。しかし、それによって医療費を減らすことはできません。長期的には、むしろ増える可能性が高いといえます」
――なぜでしょうか。
「長生きすると、誰しもいずれ…