ニュージーランド(NZ)南部クライストチャーチの裁判所は18日、同市のイスラム教礼拝所(モスク)で3月に起きた銃乱射事件のライブ配信映像を拡散したとして、有害な映像を流した罪でフィリップ・アープス被告(44)に禁錮1年9カ月の判決を言い渡した。被告は判決を不服として控訴した。NZメディアが伝えた。
アープス被告は51人が犠牲になった事件当日、実行犯の男が犯行の様子をネット上でライブ配信した映像を約30人に送った。さらに、銃撃の際に狙いを定める照準線を入れるなどの編集を知人に頼んでいた。
裁判官は禁錮刑が必要な理由として、アープス被告が以前に自身をヒトラーの腹心だったナチスのヘス副総統になぞらえていたとして、その政治信条を考えると、似た犯罪を再び犯す可能性が高いと指摘。「宗教や人種の違う人を憎悪した大量殺人を賛美している。事件当日に被害者の家族が安否を気にしているときに映像を流した行為は非常に残酷だ」と述べた。(シドニー=小暮哲夫)