今国会では初、昨年6月以来1年ぶりの党首討論。安倍晋三首相に対する野党代表者らの質問は、老後の生活費が2千万円不足するとした金融庁の審議会報告書の問題に集中した。だが、双方が間近に控えた参院選を意識したためか、すれ違いが目立ち、「消化不良」感は否めない。
安倍首相、衆院解散「頭の片隅にもない」 党首討論
トップバッターの立憲民主党・枝野幸男代表は、審議会に諮問した麻生太郎金融相が「政府の政策スタンスと違う」と報告書の受け取りを拒否した対応を取り上げた。「見たくない事実はなかったことにしてごまかす姿勢。これが自分の暮らしと直接関わる問題で見せられた。それが皆さんの関心を招いている」と追及した。
これに対し首相は「マクロ経済スライドを導入して、平均寿命の延伸と被保険者の増減に対応するようになった」と制度論で反論。枝野氏は「正面から答えていただいていない」と批判した。
こうした首相の反応を見越してか、次に質問に立った国民民主党の玉木雄一郎代表は、付箋(ふせん)を貼った報告書を「読んでください」と首相に手渡すパフォーマンスを展開。首相は「私自身読んでいますから、これはもう結構です」と苦笑いでかわした。
受けて立つ側の安倍首相に目立ったのは、「これは討論だから、私の考え方も述べさせてください」と、回答を後回しにして自説や政権の実績アピールを優先する姿勢だ。自民党の社会部会長も務めた「厚労族」でもある首相は、資料も持たず長広舌を振るった。
第2次安倍政権以降、党首討論…