来年1月の台湾総統選への出馬を目指す鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘氏(68)は、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める香港の「逃亡犯条例」改正をめぐる動きについて「一国二制度は失敗だ」と語った。中国への警戒感が高まる台湾世論に配慮し、自身の「親中色」を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。
台湾に統一を迫る中国は、香港同様に一国二制度の台湾への適用を目指している。香港の大規模デモを機に、同制度をどう評価するかは総統選に向けた重要な争点に浮上している。
郭氏は21日の記者会見で、一国二制度を受け入れるか問われ、「制度は失敗だ」と回答。受け入れるか否かは答えず、「(中国との)平和な関係の維持を希望する」と述べた。
米アップルのiPhone(アイフォーン)などを受託生産している鴻海は中国に多くの工場を抱え、郭氏は習近平(シーチンピン)国家主席と面会したこともある。世論の一部には「企業の利害より、台湾の利害を優先できるのか」という批判があり、親中イメージ脱却が課題となってきた。
郭氏は同日あった鴻海の株主総…