記録的な雨量を観測した九州南部では、住民たちが近くの避難所に身を寄せ、不安な一夜を過ごした。4日の朝方には雨が上がり、多くが自宅へ戻った。
九州の豪雨、196万人超に避難指示・勧告 けが人も
鹿児島県では4日午前10時現在、88万2763人(41万4647世帯)に避難指示、23万4304人(11万2789世帯)に避難勧告が出ている。計527カ所の避難所に午前7時時点で8787人が避難したが、午前10時には2757人に減っている。
市内全域の約59万人に3日午前から避難指示(緊急)が出された鹿児島市。山間部にある同市犬迫町の避難所には、3日夜に最大で135人が避難した。明け方に雨は小降りになり、午前7時ごろまでにほとんどの人が自宅に戻った。
6歳と1歳の娘を連れて避難した大保理香さん(36)=同市皆与志町=は「娘が夜中に暴れ回って大変だった」と疲れ顔。長女のりんちゃん(6)は「家の方が遊べるし、早く帰りたい」と笑顔を見せた。ただ、週末にかけて雨の予報が続く。自宅近くには崖があるといい、夫の昭人さん(36)は「土砂崩れが心配。家に戻りたくはないが、仕事もある」と複雑な表情を浮かべた。
同市下竜尾町のたてばば福祉館では、4日午前もお年寄りの男女数人が避難所に残っていた。もう一晩泊まるつもりという同市吉野町の高山薫さん(79)は「行ったり来たりするのも大変だが、安全になるまでもう少し様子をみます」と話した。
同市中山町の避難所には最大で51世帯136人が避難した。3人の子どもを連れた30代女性は「初めての避難に子どもたちは落ち着かなかった」と言い、長女(5)は「明るくて、うるさくて眠れない」とぐずったという。「自宅裏の山が崩れるかもしれない。ずっと避難所にいるわけにはいかないが、雨がやんでも警戒しないといけない」
阪神大震災でボランティアをした経験がある避難所近くに住む男性(54)は「災害の怖さを目の当たりにしたので、避難することは頭に常にある」と言う。「いまは雨がやみ、静かになっているが、いつ何が起きるかわからない。また避難所に戻ってこなければいいのだが……」と話した。(川辺真改、合田純奈)