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「お前じゃなかったら…」 涙の主将、仲間の言葉に笑顔

第101回全国高校野球選手権大阪大会(朝日新聞社、大阪府高校野球連盟主催)は11日、南港中央球場など6球場で1回戦12試合があった。春の近畿地区大会府予選で優勝した大商大が興国との接戦を制し、初戦を突破。金光大阪は箕面東を終盤に突き放し、茨木は九回に逆転して常翔学園を破った。12日は6球場で1、2回戦計12試合がある。


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主将の涙 仲間に救われた 常翔学園・今西皓紀主将


八回表、常翔学園主将で捕手の今西皓紀(こうき)君(3年)が守備位置についた。「少しでも失点を抑えたい」。高ぶる気持ちとプレッシャーで、いつもは気にかける打者の位置が目に入らなかった。4球目、高めに浮いた球をはやく捕球しようと、左手を前に突き出した。その手にバットが当たり、打撃妨害となった。


この回、続く打者に適時二塁打を許すなど計2失点。点差を詰められ、試合の流れが変わった。今西君は試合後、「あの打撃妨害がなければ違った結果になったかもしれない」とうつむいた。


新チーム発足後、監督から主将に指名されたときは驚いた。人に強く注意したり怒ったりしたことはほとんどない。そんな自分に主将なんて務まるのか。「嫌われたらどうしよう」。不安だらけだった。


けがにも苦しんだ。昨年8月、疲労でひじを痛め、年内は満足にボールを投げることもできなかった。練習中に気を抜く部員に注意しようと思っても、なかなか声を掛けられなかった。夏が近づき、焦りも出てきた6月ごろ、やっと注意ができるようになった。遅すぎたと後悔している。


八回の打撃妨害がなければ。自分が主将としてもっとしっかりしていれば。相手校の校歌を聴き終わり、ベンチへ引き揚げると、一気に涙があふれた。


グラウンドを出た後も、柵にもたれて泣いた。控え選手の一人が、声を掛けてきた。「お前じゃなかったら、このチームはアカンかったで。ありがとうな」。少し救われた気がした。「このチームで野球ができて、主将をやれて良かった」。今西君に笑顔が戻った。(山田健悟)


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