23日に開幕した第91回選抜高校野球大会で、2年ぶり8回目の出場となった履正社(豊中市)は星稜(石川)に0―3で敗れた。優勝候補同士がぶつかる注目の一戦。履正社打線が相手の好投手を打ち崩せなかった。「また甲子園に戻ってくる」。夏に向けて、選手たちは奮起を誓った。
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主砲「同じ結果にはしない」 井上広大君
「直球の球威と変化球のキレにスイングが追いつかなかった」
履正社の4番、井上広大(こうた)君(3年)は試合後、悔しさをにじませた。相手エースに対し、4打席無安打。「この経験を生かしたい」
187センチ、95キロ。豪快な一発が魅力だ。昨秋の公式戦で本塁打3本を打ち、3月の練習試合では外野の柵を軽々と越える打球を次々と放った。「うちの打の中心。パワーがある」と、岡田龍生監督の期待は大きい。
原点はソフトボール。小学2年生の時、上級生に誘われ、地元の大阪府大東市のソフトボールチームに入った。
チーム監督の谷本篤司さん(53)は「身体能力はずば抜けていた。打球の飛距離がすごく、10年に一人の逸材だった」と振り返る。
小さい時から背は高かったが、細身だった。体を大きくして打撃力を高めるため、中学生になってからは、昼に3合近いご飯を平らげるようになった。朝も茶わん3杯。練習の合間にも、おにぎりやパンをほおばった。
昨年11月、疲労のため、右ひざの腱(けん)がはれて、手術を受けた。約1カ月間、通常の練習ができず、基礎トレーニングに励んだ。スイングのスピードを上げるため、帰宅してからも、ソフトボール用の軽いバットで素振りを繰り返した。
この日、150キロを記録した直球と鋭く曲がる変化球にタイミングを外され、外野に球は飛ばなかった。
「次に対戦する時は同じ結果にはしない。振り負けないよう、さらにバットを振り込む」
夏こそ、快音を響かせたい――。主砲の照準が定まった。(吉村治彦)