第101回全国高校野球選手権山梨大会(朝日新聞社、県高野連主催)は11日、甲府市の山日YBS球場と富士吉田市の北麓(ほくろく)球場で2回戦計4試合があった。甲府城西が昨夏準優勝の帝京三に勝ち、シード校が初めて姿を消した。日川は延長戦で甲府昭和にサヨナラ勝ち。打撃で圧倒した駿台甲府と山梨も勝ち進んだ。12日は試合がなく、13日に山日YBS球場で2回戦3試合が予定されている。
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最大限のプレー見せた 甲府昭和 渡辺翔太郎投手
「お前が投げた球なら打たれてもいい。自信を持って行け」
1人で投げ抜いてきた甲府昭和の渡辺翔太郎投手(3年)の熱投に、仲間はどんな結果になっても納得できる思いだった。
日川との息詰まる戦い。延長十一回表に勝ち越したものの、その裏に同点とされる。さらに1死から四球を与え、マウンドにみんなが集まってきた。
緊迫した試合だった。甲府昭和は四回に連打と犠飛で先制。この1点を八回まで守る。五回には左翼手の佐藤孝太選手(3年)が本塁への好送球で走者を刺し、安打性の打球に飛びつく好捕も相次いだ。
強豪校に「一泡ふかせてやろう」と基礎から投球を見直した。初戦は日大明誠に逆転勝ち。9回156球を完投した。
古豪・日川との対戦となったこの日、速球とキレのある変化球で要所を締めた。しかし、体力は限界だった。雨が降る中、九回2死までで球数140球を超え、球が浮き始めた。相手の4番小沢拓己選手(3年)に適時打を打たれ、今大会初の延長戦へ。
マウンドに集まった延長十一回はその後、次打者に死球を出して一、二塁に。打席に再び小沢選手を迎えた。3球目。捕手のサインに首を振り、自信のあるカットボールを投げた。しかし、甘く入り、中前へ抜けた。最後の夏は終わった。
「『勝ちたい』という気持ちでチームが一つになり、一人ひとりが最大限のプレーを見せられた。楽しい試合だった」。泣き腫らした目で言い切った。(野口憲太)