第101回全国高校野球選手権山梨大会(朝日新聞社、県高野連主催)の1、2回戦4試合が8日、甲府市の山日YBS球場と富士吉田市の北麓(ほくろく)球場であった。昨夏優勝の山梨学院、サイクル安打が飛び出した日本航空、集中打で引き離した甲府一がいずれもコールド勝ち。甲府東は終盤に一気に逆転した。9日は試合がない。10日は両球場でそれぞれ2回戦2試合が予定されている。
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先輩につなげたかった 甲府南・金子慎太朗投手(2年)
狂った歯車は戻らなかった。
1点を追う六回、甲府南の金子慎太朗投手(2年)は左前安打を放ち、無死一、二塁と好機を広げる。次打者の上原昴選手(3年)が初球、犠打を試みるも空振りになると、飛び出してしまい一、二塁間でタッチアウト。後続が断たれ、無得点に終わった。
「あそこがチャンスだったのに、自分がつぶしてしまった」
背番号8を背負い、先発を任された。流れを取り返そうと、その裏のマウンドに上がった。「決め球の変化球で抑えたかった」。しかし、力みからか高めの球を左中間に運ばれ、2点適時二塁打となる。降板し、チームは七回コールド負けに終わった。
八回からは上原選手が登板する可能性が高かった。「無失点で昴さんまでつなげます」。試合前、背番号1の先輩にそう言っていたのに。
4人一部屋の部室が同じだ。新チームになったとき、「学年間の隔たりをなくそう」と学年入り交じった部屋割りになり、以来、何でも気兼ねなく話せるようになった。
昨秋の県大会で先発を務めたのは上原選手。春の県大会から、自分が先発を担うようになった。悔しさもあるはずの先輩は、それでも、様々な面でサポートしてくれた。
試合後、あふれ出る涙を手でぬぐい、「自分がしっかり抑えていたら、昴さんまでつなげられた。来年は投手としてチームを引っ張ります」と飛躍を誓った。(玉木祥子)