東北の雄、仙台育英にはともに中学時代に140キロ超をマークした1年生の逸材がいる。3連覇を目指す宮城大会初戦は名取に12―1で5回コールド勝ち。左腕笹倉世凪(せな)、右腕伊藤樹(たつき)がそろって楽天生命パークのマウンドを踏んだ。
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先発に抜擢(ばってき)されたのは、背番号11の笹倉。春の公式戦も経験している16歳は、「夏は負けたら先輩方が最後。緊張があった」。一回に3安打を許し1点を奪われたものの、要所は球威で押して2回を投げ4三振を奪った。
まだ15歳の伊藤は3番手で五回に登板。しなやかな腕の振りが特徴の背番号18は、1回を無安打、1与四球、2三振。やはり春の公式戦は経験しており、「打者のくらいついてくる姿勢が春までと違った。これまでなら空振りを奪えた球もファウルにされた」と体感を語った。
笹倉は岩手、伊藤は秋田の出身だ。ともに仙台育英の系列校の秀光中等教育学校に進み、笹倉は軟式で147キロ、伊藤は144キロを計測した。夏だけで甲子園出場27回、準優勝2度の仙台育英でも入学早々から戦力になり、夏もメンバーに入った。
中学3年時の全国中学軟式大会決勝。笹倉、伊藤は高知中の右腕森木大智と投げ合い、延長十一回タイブレークの末、1―2で惜敗した。その森木は中学時代に150キロをマークし、この夏、高知高で1年生ながら背番号1を背負う。笹倉も伊藤も「1年生でエースナンバーはすごいこと」と口をそろえる。
仙台育英の須江航(わたる)監督(36)は今夏、エース大栄(おおさかえ)陽斗(あきと)(3年)らとともに細かな継投で勝つ野球を目指している。「このチームが最後にあと一つ、二つ上に上がれるかは笹倉、伊藤の伸びにかかっている」と期待を隠さない。高知の1年生エースだけではない。この2人もまた大きな期待を背負っている。(竹田竜世)