(15日、高校野球福岡大会 門司学園14―2折尾愛真)
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昨夏の北福岡代表の折尾愛真が15日の福岡大会3回戦でコールド負けした。10日には南福岡代表の沖学園が敗れ、南北代表が序盤で姿を消すこととなった。
昨夏の甲子園大会を彷彿(ほうふつ)とさせる初回の大量失点。それでも折尾愛真の主将、斉藤隼人君(3年)には自信があった。「一発はない。でもつながれば去年のチーム並みに力がある」
昨夏の甲子園大会では、2年生ながら主力としてプレー。強力打線の一角として、本塁打も放った。
新チームになって主将を任されたが、とまどった。実力も経験も飛び抜けている分、ほかの選手の気持ちがわからない。「なんでできんの」。つらくあたることが増え、仲間との間に距離ができた。
昨年11月、隈元健太部長の提案で一度主将から外れた。同学年の安川瑠希君、八尋歩夢君、髙橋憲史君らが寄り添うように仲間を引っ張るのを見て気づいた。「実力も性格も一人一人が違うのに、先走っていた」。高いレベルを求めるよりも、経験を伝え、うまくなる方法を一緒に考えるように改めた。
今大会で初戦を突破した後、昨年の主将でプロ野球・巨人の松井義弥選手が激励に訪れた。「周りは去年甲子園に行った学校とみるけど、お前たちのチームだ。1年間積み上げた自分たちの野球を見せろ」。成長に対する自信を裏付けてもらった気がした。
この日は初回の大量失点が響いた。それでも斉藤君の二塁打をはじめ、五回までに7安打。つなぐ打撃と抜け目のない走塁で「理想とする攻撃はできた」と斉藤君。長打力がなくてもみんなで点を取る。昨年とは違う、自分たちの折尾愛真野球を見せた。
昨夏の甲子園での敗退後、神戸市の宿舎で松井選手から主将の大役を託されてから1年。あの舞台には戻れない。それでも、先輩たちは認めてくれると信じている。(狩野浩平)