(14日、高校野球宮城大会 東北生文大10―0加美農・一迫商・岩出山)
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連合チームの加美農・一迫商・岩出山の選手は13人。3校合わせても、昨夏8強の東北生文大の四分の一だ。なんとか大量失点せずに毎回しのぎ続けると、主将の浅野貴広君(加美農、3年)は「自信を持って、焦らず準備しよう」と呼びかけた。
四回裏、雨で1時間半中断する間、みな黙々とバットを振り続け、再開後の無死一、二塁のピンチにも気持ちを切らさなかった。二塁手小野松夏輝君(岩出山、1年)は後方へのフライを好捕。飛び出した二塁走者も刺し、芽を摘んだ。
浅野君は1年生の時から、様々な学校と連合チームを組んできた。集まれるのは休日だけ。最初はサインの間違いが続いても、ともに汗を流すうちに結束は深まり、誰がどの学校か意識することもなくなった。
昨年春の地区大会後、加美農が別チームと合流することになった。他校の先輩一人ひとりに「お世話になりました」と伝えた。すると先輩が「これからはお前がチームの軸になる。がんばれ」。この日もスタンドで声をからしてくれた。
五回裏、差は8点に広がった。あと2点でコールド負けだ。1死満塁。鋭い三遊間へのゴロに飛び込んだが、グラブに感触はなかった。二塁走者が一気に生還し、試合が終わった。「3校分の思いを背負っていたのに」とうなだれた。
連合を組んだ仲間には、感謝でいっぱいだ。「大会に出場させてくれてありがとう。大差だけど、みんなで粘れたと思う」。その目に涙はなかった。(大宮慎次朗)