ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が6日に発表した研究によると、同大学の研究者が筆頭となったチームが、世界中の科学者が共有する7500人以上の患者データから採取した新型コロナウイルスの遺伝子を研究した結果、ウイルスが2019年末には既に世界中に広がっていた可能性があることが分かった。新華社が伝えた。
同チームは、ウイルスに対する198の反復変異を確認。ウイルスがどのように変異し、ヒトという宿主に適応するようになったかを調べている。
同チームは、全てのウイルスの変異をさかのぼった結果、2019年末の時点に共通の起源があることを発見した。この時期にちょうどヒトへの感染が始まった時期の可能性があるとしている。
UCLによると、この研究成果は、ウイルスが広がり始めた最初の頃の状況を知る手掛かりを提供するほか、有効なワクチンや薬を探すうえでも新たな道筋を与える。
研究者は、「それら変異の分布にはむらがあり、ウイルスの遺伝子の一部には多くの変異が見られない。その部分は、ワクチンや薬の研究開発の際の良いターゲットとなる」との見方を示す。
報告の筆頭作者の一人であるUCLのフランソワ・バロー教授は、「ウイルスとの闘いにおいて、大きな課題となるのは、ウイルスが変異すると、ワクチンや薬が有効でなくなる可能性がある点だ。ウイルス遺伝子の変異が起きにくい部分に集中して研究開発の方向性を定めることができれば、長期間有効なワクチンや薬を開発できる可能性がある」としている。
同研究報告は専門誌「Infection, Genetics and Evolution」に掲載された。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月9日