クリストファー・ノーラン監督がメガホンを取った映画「TENET テネット」が今月4日、中国全土のIMAXデジタルシアターで公開され、公開2日目で興行収入が1億4000万元(1元は約15.5円)を超えた。また、オンラインチケット販売サイト・淘票票ではレビューが9.0ポイント、コミュニティサイト・豆瓣では8.3ポイントと、絶好調の滑り出しとなった。中国新聞網が報じた。
ノーラン監督は「TENET テネット」において、スパイ、アクション、SFなどの豊富な要素を融合させており、「時間の逆行」という概念を全面的にグレードアップさせている。同映画鑑賞の過程で、IMAXシアターの迫力と没入感を体験しながら、エキセントリックな「時間の逆行」という世界に、瞬きをする暇もないほど引き込まれていく。また、スリル満点の銃撃戦、爆破、アクションシーンの連続で、見応えある仕上がりとなっている。
ノーラン監督は撮影において限界に挑戦することで知られ、できるかぎりCG/VFXに頼らず、実写撮影にこだわり続けてきた。今回は、本物の大型旅客機・ボーイング747まで購入して、その爆破シーンを撮影した。そのため「TENET テネット」の製作費は2億ドル(1ドルは約106.3円)以上に達したとされている。
同作品を鑑賞した人は、興奮冷めやらぬ間に、SNSなどで、「予告動画に出てくるセリフの通り、『考えるより感じた方がよい』」などの感想を綴っている。そして、海外で好評を博したのに納得したという声が多く、「ストーリーが素晴らしい」、「ノーラン監督の最高傑作の一つだろう」、「来年のアカデミー賞のシード権獲得」などの声が上がっている。一方で、「頭が大混乱」、「理解できない」などの声もあり、あまり好きになれなかった人もいたようだ。
公開前、有名な映画評論家・周黎明氏は、「これは見る人の理解に問題があるわけではない。西洋諸国の映画評論家の数十件の評価を見たが、『完全に理解できた』と言える人は誰もいなかった。基本的な設定は簡単であるものの、1度に細かな所まで全て理解するというのは、ほぼ不可能だ。映画を見て、自分のIQに疑いを抱くというのは決して賢明とは言えないだろう」と綴っている。
現在、同作品の豆瓣におけるレビューは7.9ポイントまで下がっている。ノーランファンにとっては、複雑な「時間の逆行」のストーリーラインは、ノーラン監督の創作思考回路を模索する絶好の機会となるのに対して、普通の人にとっては、「時間の逆行」があまりに複雑な思考回路で、映画を見るのに自分の忍耐力、ひいてはIQが試される。「理解できない」という声を上げたグループのある人は、「頭がこんがらがった」とし、「2回見ても理解できないということは、この作品はおもしろくないということだ。たくさん伏線が敷かれていても、どんなに構造が工夫され、技術が駆使されていても、理解できなければおもしろくない」と綴っている。
さて、この頭を混乱させる映画作品を理解できたという人はどれぐらいいるだろうか?(編集KN)
「人民網日本語版」2020年9月9日